統合取引アカウントにおける「使用中」とは、様々な取引商品にわたって、現在担保として確保されている証拠金の一部を表します。これにより、進行中のすべての取引活動と関連リスクが「利用可能残高」に正確に反映されます。
証拠金の取り扱い方は各証拠金モードで異なるため、「使用中」の定義もモードによって異なります。
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分離マージンモード:現物またはデリバティブの注文を行うには、決済資産を保有する必要があります。「使用中」は資産ごと(決済通貨ごと)に計算されます。これには、未決済注文のために決済資産で確保されている注文コストが含まれています。注文コストの計算に関する詳細は、こちらをご確認ください。
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クロスマージン / ポートフォリオマージンモード:証拠金残高によって、アカウントリスクの維持や新規注文に使用できる金額が決まります。Bybitアプリでは、新たに「アカウント使用中」を確認できるようになりました。この項目は、お客様の証拠金残高のうち、現在、必要証拠金として確保されている部分を示します。
以下のセクションでは、クロスマージンモード(またはポートフォリオマージンモード)における各商品タイプの「使用中の資産」の計算方法について説明します。

1. 現物における「使用中」
定義:現物注文で発生したヘアカットロスが含まれます。
各証拠金資産には担保価値比率があります。
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この比率が100%未満(例:25%)の場合、その資産価値の一部のみが担保として使用できます。
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この減少分をヘアカットロスと呼びます。
価値の高い担保資産を使用して価値の低い資産を購入する場合、ヘアカットが事前に確保されます。これにより、注文が約定した後のMMR(維持証拠金率)の急激な上昇を防ぎます。
計算式
ヘアカット = Max((売却担保 - 購入担保), 0)× 注文価格 × 注文サイズ
例:
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トレーダーAがUSDT(担保価値比率 = 1)を使用して1 BTC(担保価値比率 = 0.98)を購入しました。
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BTC価格は、100,000 USDTでした。
この場合、計算式は以下のようになります。
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ヘアカット = Max((1 - 0.98), 0)× 100,000 × 1 = 2,000 USD
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現物における「使用中」= 2,000 USD
2. 負債における「使用中」
定義:現物マージン取引で借り入れた資産に必要な必要証拠金を表します。
計算式
必要証拠金(借入資産)= Sum(負債 × インデックス価格 × 現物必要証拠金率)
現物必要証拠金率 = 1 ÷ レバレッジ
例:
トレーダーAには10,000 USDTの負債があり、USDTのインデックス価格は1、使用レバレッジは5倍です。
この場合、計算式は以下のようになります。
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借入資産の必要証拠金 = 10,000 × 1 ×(1 ÷ 5)= 2,000 USD
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負債における「使用中」= 2,000 USD
3. 先物における「使用中」
定義:無期限および期限付きポジションと注文に必要な必要証拠金が含まれます。
計算式
ポジションIM =(ポジション価値 ÷ レバレッジ)+ 推定決済手数料
アクティブ注文IM =(注文価値 ÷ レバレッジ)+ 推定建玉手数料 + 推定決済手数料
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ポジション価値(USDT&USDC契約)= ポジションサイズ × マーク価格
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ポジション価値(インバース契約)= ポジションサイズ ÷ マーク価格
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注文価値(USDT&USDC契約)= 注文サイズ × 注文価格
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注文価値(インバース契約)= 注文サイズ ÷ 注文価格
例:
BTCのマーク価格が100,000 USDTであると仮定します。
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トレーダーAは、BTCUSDTで10倍のレバレッジをかけて2 BTCのポジションを保有しています。
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トレーダーAはまた、ETHUSDTで注文価格4,000 USDT、同じく10倍のレバレッジで2 ETHの注文を出しています。
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USDTのインデックス価格は1で、手数料は無視します。
この場合、計算式は以下のようになります。
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ポジションIM = 2 × 100,000 ÷ 10 = 20,000 USD
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注文IM = 2 × 4,000 ÷ 10 = 800 USD
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合計IM = 20,800 USD
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先物における「使用中」= 20,800 USD
4. オプションにおける「使用中」
定義:以下の状況で求められる必要証拠金を指します。
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オプションのショートポジションの保有
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オプション注文の発注
オプションの必要証拠金の計算の詳細については、「必要証拠金と維持証拠金の計算(オプション)」をご参照ください。
